Wikipediaの誤情報に関する報告
Wikipediaにおける「ヴィーガニズム」の解説に誤った記述があったので報告します。
「ヴィーガニズム」の解説のうち、訳語に関するくだりにはこのように書かれています(2026年1月11日11時11分確認)。
日本語では国内外のメディアで「完全菜食主義」や「絶対菜食主義」と訳されている[21][22][23]。米作家のマーク・ホーソーンは著書でヴィーガニズムは「菜食主義」ではなく「脱搾取」であると主張している[24]。
この記述は誤りです。「脱搾取」という語は、私(井上太一)が考案し、訳書『動物の権利入門』(ゲイリー・フランシオン著、緑風出版、2018年)で用いたのが初出です。当時はこの訳語の是非をめぐり、ソーシャルメディアで議論が交わされるなどのこともありました。
ホーソーンはこの訳語が用いられた訳書『ビーガンという生き方』(緑風出版、2019年)の原著者であり、原文は英語で書かれています。したがって、彼が日本語の「脱搾取」という概念を考案したという説明は至極奇妙なものです。
また、この記述の出典 [24] には
マーク・ホーソーン [英語版]『ビーガンという生き方』緑風出版、2019年、208頁。
と書かれていますが、この記述も正しくありません。同訳書の本文は185頁までであり、「208頁」は存在しません(奥付や宣伝まで含んだ同書の総頁数は208頁になりますが)。
概念や言語の由来に関し、このように誤った情報が流通することはまことに遺憾です。経験上、このようなことが起こる背景には、翻訳家や在野研究者の仕事に対する軽視も関係しているのではないかと感じざるをえません(上記出典にわざわざ「マーク・ホーソーン [英語版]」と書かれていることも、それを物語っているように思います)。
Wikipediaの修正方法を知らないので、分かる方に修正をお願いします。また、この件をもってしても、Wikipediaの利用が学術的観点から慎重を要することは、改めて確認されたことと思います。
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