【書籍紹介】『インターセクショナリティ基本論文集』
武蔵大学の千田有紀様より、佐藤文香/千田有紀編・監訳『フェミニズムから読みなおす インターセクショナリティ基本論文集』(慶應義塾大学出版会、2025年)をご恵投いただきました。インターセクショナリティの誕生から現在までを幅広く知ることができる貴重な論集です。
性・人種・階級など、異なる属性カテゴリーの交差を言い表す「インターセクショナリティ」(交差性)は、今日のフェミニズムや他の社会正義理論において無視することのできない概念装置となっていますが、その実体については必ずしも共通了解が存在するとは言いがたく、むしろ今日にいたるまでさまざまな解釈上・運用上の誤解や混乱が生じていました。
本書はインターセクショナリティの提唱者であるキンバリー・クレンショーの論文にはじまり、後の批判的継承者らによる議論まで、大きなマイルストーンとなる研究成果7篇を収録し、この重要でありながら捉えにくい概念の系譜を描き出しています。インターセクショナリティをめぐる今後の議論において、外すことのできない文献となるに違いありません。研究者や活動家はもとより、社会正義に関心のある一般読者の人々まで、必携の一冊です。
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